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〜NPOの木を植える〜 (令和3年6月) |
あじさいが日ごとに色を深める季節となりました。関係者各位におかれましては日ごろからご協力ご指導を賜り心から感謝申し上げます。 フランス作家のシャン・ジオノ氏の著書に「木を植えた男」があります。これは高地アルプス山脈のむき出しの荒れ地に約40年にわたって植樹をし続けた老人の話です。やがてその地は山全体が緑に囲まれ、自然が生まれ、人々に豊かさが生まれたというストーリーです。 一説ではこの本を書くきっかけとなったのは、米国の雑誌『リーダーズ・ダイジェスト』から、これまでに出会った中で最も並外れた人物についての執筆を依頼されたことからだそうです。この作品を通して、成果ばかり求めるより着々と努力を積み重ねることの大切さを伝えているようです。 さて、昨今のひきこもりや貧困といった複合的な課題に対して、今後自治体が一括して対応できるように、住民やNPO・企業などをまきこんだ「地域共生社会」づくりが全国の計285自治体で本格的に動き出し、本県でも、徳島市や小松島市がさっそく取り組み始めたそうです。 制度や世代(児童・成人・高齢)毎の縦割りや、受け手・担い手の関係を超えた、たすけあいの仕組みがこれからますます求められ、しかも自治体事業として取り込まれることとなります。まさにNPO活動に根付く、相互扶助の精神に基づく地域づくりが求められてきます。 しかし昨今では、自殺や虐待、孤独孤立問題等のように、社会的背景として多様性かつ複雑化していることは否めません。また、これらはコロナ禍によって加速度的に早まった課題とも思えます。 今は高齢者や障害者、また孤独を感じている人などでも、ネット環境が整っていたり、スマホを扱うスキルがあれば、誰かの助けがなくても欲しいものやサービスはすぐに手に入るかもしれませんが、地域ニーズに合わせた助け合いの仕組みづくりは、今後の地域共生社会を基本とする自治体の重層的整備体制事業でも求められてきます。 私たちはNPO活動で積み重ねてきた実践を活かすと同時に、時代に応じた新たな形の助け合いのしくみも考えていかねばならないとも考えています。 模索は続きますが、大きな器を目指すより自由で柔軟な器をつくることを大切にしていきながら、未来の豊かな社会づくりのためにも、日々の努力を積み重ねてまいります。 令和3年6月1日 理事長 山口浩志 |