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〜「生きる才覚」〜 (平成23年5月) |
日中は汗ばむほどの暖かさになりました。スタッフの皆様、日々の業務に頑張られていることと思います。 私、去る4/27〜5/1までの間、宮城県石巻市にある福祉避難所「遊学館」へ災害支援ナースの立場で参加してきました。 ここはもともと体育館やプール、ミーティングルーム、コンサートホール(パイプオルガン)などが整った多目的施設です。恐らく震災が起きるまでは、子供から大人までが楽しみに足を運ぶところだったでしょう。 この避難所には介護が必要な高齢者の方や認知症(若年性含む)、うつ症、PTSD症候群と思われる方々等、約60名、また0才児や学童期の子供さんをもつご家族ら約30名の人たちが体育館で過ごされていました。 一方、地元石巻市民病院の看護師さんたちや、社会福祉協議会のヘルパーさんたちが支援にきておりましたが、この人たちも避難所から通ってきている被災者でした。ですから私たちのような県外からの支援者が少しでも地元の人たちを心身ともに休ませてあげる役割がそこにはありました。 支援内容は、入浴のお世話や爪切り、食事の介助など、また時間があればできるだけ多くの方々の傾聴にまわったりと、どの方も休むことなく全力で支援活動に取り組んでいます。ひとり一人の壮絶な災害を乗り越えて生き延びたお話を聴かせていただきましたが、誰もが、「ありがたいです。」とか「ここは最高です。」と言われたり、また私たちに対しても「大変なお仕事をされておられますネ。」といった言葉ばかりで、不安を抱える毎日の中で、愚痴や不満の声がありません。我慢強い地域性ということもあるかもしれませんが、恐らく、生きていることだけでも幸せを感じておられるのでしょう。 曽野綾子さんが最近書かれた「老いの才覚」という本の中に、聖書の「喜べ!」という教えが紹介されています。聖パウロは、自分の意志で喜びなさい、と説きます。足が痛くても歩けることの喜び、つまらない毎日だと思っても、にこやかな笑顔で会話を楽しむ等。そういった才能を身につけることが、大切であると曽野さんは力説されています。 私は被災者の人たちからいろんなことを学び、反対に力を与えていただいて帰ってきましたが、石巻市で出会えた人たちに報いるためにも、これからも全力で仕事に取り組むことを喜びとし、自らの才覚を磨いていきたいと今認識しております。 平成23年5月2日 理事長 山口 浩志 |