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〜新しい福祉の花を咲かせよう〜 (令和5年12月) |
心せわしい年の瀬となりました。地域の皆さま及び関係者各位におかれましては、日頃からのご支援ご協力に対しまして、心から感謝いたいます。 関西経済連合会ではマルチステークホルダー資本主義理念のもと、株主、従業員、取引先、顧客、地域社会の5者を公平にみるという『自利利他、公私一如』の方針を掲げているようです。 さて、高齢者問題の大きな課題として、認知症対策があげられますが、認知症の予備軍を高頻度に含む軽度認知障害(MCI)は500万人以上にのぼり、さらに25年には認知症者数は約700万人に達すると推計されています。また65歳以上の者のいる世帯のうち、単独世帯(独居老人)の割合は約3割に達し、夫婦のみ世帯を加えると6割を超えます。こうした脆弱な世帯では、軽度の身体機能や認知機能の低下が、住み慣れた自宅での生活を危うくします。 また、元気なうちからテクノロジーに慣れておくことも大事です。良かれと思って洗濯機をドラム式の最新に換えた途端に、ほぼ自立できていた認知症の人が洗濯を一人ではできなくなった等のエピソードは枚挙にいとまがありません。他にも行政の手続きの通達が届いても通知をなくしてしまったり、金融機関の利用でもATMが利用できなくなったりとありますが、ご家族が離れていて支援が得られない人も増えているようです。 千葉大学予防医学センターで高齢者約3万4千人を2016年から追跡し、「社会的孤立」を調査したところ、単身の中高年男性は女性に比べ、社会的孤立に陥りやすいとされ、経済的に苦しくなるほど将来に対する諦めと他者への不信が強まり、誰かに援助を求めにくくなるという結果が出されています。 これからは医療福祉業界でも冒頭の企業理念を参考に、法人組織、職員、利用者、取引先企業、地域社会などそれぞれの満足度や幸福度をみていくことが大切になるでしょう。 秋になると栃木県ではシモツケという清楚でかれんな花が満開になるそうですが、シモツケは6月に一度満開を迎え、それからまた新しい芽が出て多くの枝を伸ばし、再び秋に花が咲く、いわゆる『二季咲き』と呼ぶそうです。法人経営や人の人生には、何度でも咲く、『多季咲き』がいいのかもしれません。咲く度にこれまで経験した幸せや辛苦を重ね合わせて、深みのある新しい花を咲かせていきましょう。 令和5年12月1日 理事長 山口浩志 |