新年明けましておめでとうございます。新年を迎え日頃からの地域の皆様や関係者各位におかれまして感謝すると共に本年も一日一日を地道に基本を大切にしながら事業を進めていきたいと思います。今年の干支は甲辰(きのえたつ)にあたります。この年には、「成功という芽が成長していき、姿を整えていく」といった縁起のよさを表しているそうです。
私の尊敬する亡父は晩年、何かと独り言が多くなり、私はてっきり認知症状が現れたと思いこんでいました。しかし、今考えてみると、その内容は山口家の過去の出来事や自らの教師人生での思い出、家族への感謝等で、言葉にするとで感情の整理をしたり、書き記すことができなくなっていたため、家族の誰かに伝えようとしていたのかもしれません。専門職としてキャリアを積んでいながら、身近すぎて気づくことができず、反省とお詫びしかありません。このことは私の在宅介護におけるACPの原点となっています。
そもそも書き記すことは、人間がおしゃべりをして認知能力が高まり文明が生まれた頃から始まったとされ、30足らずの文字で書けるアルファベットが生まれて3千年が経っています。ソクラテスや仏陀、イエスも声を好み、彼らの弟子たちが師の文言を記録したおかげで、偉人たちの足跡が残るようになったといわれます。書き、伝え、残すことが人間の習わしとなりました。
総務省の2022年の就業構造基本調査によると、介護しながら働いている人は約365万人で、直近の1年間で介護や看護を理由に離職した人も、10万6000人いました。政府は両立支援制度の社員への個別周知などを企業に義務づける方向で検討中であり、さらに、働き方の工夫も必要となるでしょう。また岸田首相は、経済産業省主催する「超高齢社会の課題を解決する国際会議」にて、「高齢者の就労促進、高齢者が地域で働ける場や社会を支える活動ができる場の拡大に取り組む」と語っております。更に、「現役から多様で柔軟な働き方を広げ、雇用の選択肢を充実させることが重要だ。」と強調され、リスキング教育の重要性を訴えられました。
歴史的に現在の医療福祉のしくみを構築された先人の方々のご努力で今私たちが現在の業務が成り立っています。そして次年度より医療・介護・障害3法が改正となり、新たなる時代が始まるところですが、亡父から学んだ「福祉の原点」を心に刻み、今年も一つひとつの実践を積み重ねていきたいと思います。本年もご協力のほどよろしくお願いいたします。
令和6年元旦 理事長 山口浩志
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