|
|
|
〜歴史の繰り返しを考える〜 (平成29年7月) |
ひと雨が待たれる日照り続きの毎日です。 地域の皆様方及び関係者各位におかれましては、日頃のご支援ご協力に深く感謝申し上げます。 History repeats itself(歴史は繰り返す)とは、ローマの歴史家、クリスティウス-ルーフスの言葉ですが、記憶に新しいところでは、昨年4月発生の熊本地震も、同県では128年前(明治22年)の7月、M6.3の直下型地震が発生し、20人が死亡、数百棟が全半壊。熊本城も大きな被害を受けたことが記録されています。 その後、1871年濃尾地震(死者7273名)、1930年室戸台風、1946年南海地震と続いています。 先日、政府が経済財政運営の基本方針(骨太の方針)を発表されました。そこでは、2020年の 財政健全化目標達成を目指すと掲げられていますが、社会保障分野が多く盛り込まれています。 まさに医療費・介護費の伸びを抑制しつつ、効果的な医療を効率的に提供することや、健康増進・予防の推進、薬剤制度の抜本改革などです。 ただし、改革には痛みも生じます。薬剤価格の抑制は、製薬会社の収益ダウンとなり、新薬開発や治験薬のトーンダウンともなりかねず、ひいては患者さんの不利益につながる恐れもはらんでいます。 近未来の医療・介護は、これ以上の手だてもなく八方ふさがりなのでしょうか。 全国各地では、国の制度が削減されるのを機に、地元ならではのアイデアを出しあって乗り越えようとする例がたくさんあります。 内閣府が募集する「地方創生政策アイデアコンテスト」では、昨年度10作品が選ばれました。 その中には、フィールドワークを地方間交流の場とし、ショッピングセンターや旅館等に立ち寄れて、観光活性化に結びつけた、松山市の高校生のアイデアや、イナゴや蚕のさなぎを活かして、煎餅やサプリメント開発し商品化する「昆虫ビジネス」を生み出した、長野県松本市の高校生のアイデア等があります。 香川県三豊市の一般社団法人「誇(ほこり)」は、空き家を修繕して宿泊できるようになった「松賀屋」があります。 ここでは、インターネットで出資者を募り、提供者を「村民」として全国で2000人余り集めるシェアビレッジを始め、まちをにぎわせています。 長野県佐久市では、一定の研修を受けた人に、保健師の補助員として2年任期で登録してもらい、「予防運動」をおこしています。これまでに約2万6千人の補助員OBが輩出されたおかげで、長野県では、がん死亡率の低下や医療費の削減につながっているようです。 かつては、「いい会社」とは、お給料がよく、休暇も多い安定した企業だったかもしれませんが、昨今では、概念が変わりつつあり、「事業が社会課題の解決につながっているかどうか」が評価のひとつになっています。 今月7月、上杉鷹山の生誕月でもあります。地域包括ケアで求められている共助の原点である 「三助の公(自助・共助・公助)」を実践し、破綻寸前の米沢藩を生き返らせた話は、福祉の伝説ともなっています。 平成の鷹山を目指し、まちを活かすアイデアを出しあって次々と実践していきましょう。 平成29年7月1日 理事長 山口浩志 |