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〜後藤新平氏の検疫精神に学ぶ〜 (令和2年9月) |
季節は天高く馬肥ゆる秋となりました。地域の皆さま及び関係者各位におかれましては、残暑厳しい中、ご健勝のこととお慶び申し上げます。 明治・大正期の政治家、後藤新平氏は医学で身を立て、開明的な発想で医療衛生の近代化に尽力したと伝えられています。約125年前、世界でも前例のない大規模検疫事業の責任者を勤め、国内3ヵ所に大規模な検疫所をわずか2ヶ月で建設し、自ら講義にまわったそうです。また3ヶ月間でコレラ感染者369人などを隔離し感染症拡大を阻止しています。 厚生省によると、新型コロナウィルスの集団感染が発生したとみられる高齢者施設はすでに66か所に上がっています。感染する高齢者は重症化しやすいため、消毒や必要物品を準備した上で、こまめに職員の検温を行ったり、予防に徹せねばなりません。そして重要なことは、感染者が出ても、施設の機能をできるだけ維持し、利用者に対するサービスの提供を継続することが求められます。 県内では医療機関、介護施設のみならず、在宅現場でも相当な混乱をきたしています。特に、濃厚接触者と診断を受けた要介護者の対応で、地域課題が浮き彫りになっており、更に高齢者が高齢者を介護する「老老介護」世帯にも負担が強いられています。 国民生活基礎調査によると、同居人が介護している世帯のうち、介護をする人もされる人も65歳以上の老老介護が、約6割に上がっており、33%はともに75歳以上です。コロナ感染により、介護世帯が孤立しないような協力関係や見守り体制はまだまだ未整備です。 そして、コロナショック後の世界は元通りには戻れないといわれています。歴史から考えてみても、1970年代の2度のオイルショックは、大量生産・大量消費から、顧客個別価値観向け商品への転換となり、2008年のリーマンショック後は、米国中心の世界経済から米国・中国2国間が中 心となる転換がありました。 国民の健康と人間の自立を尊んだ後藤新平氏が遺された言葉に、「一に一を加えて億とす。これ根気なり。」とあります。これは、「目標に向かって一歩一歩前進する。歩みは遅くても、最後には必ず成就する。これを根気という。」と解釈されます。 今まさに、これまで積み重ねてきた価値観を見直しせねばなりませんが、新しい価値観を根気よく共有しあっていくことで、「億」の価値あるテーマを掘り起こしたいと思います。 令和2年9月1日 理事長 山口浩志 |