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〜科学的介護時代に立ち向かう人材育成を考える〜 (令和3年10月) |
日増しに秋の深まりを感じる今日このころ、関係者各位におかれましては日ごろからご協力ご指導を賜り心から感謝申し上げます。 東京オリンピックは、障がいのあるアスリートらが参加する国際的なパラリンピックを終え、全ての日程が終了しました。特にパラリンピックは世界から様々なハンディキャップを持つ約4,400人が集い、自らの限界に挑む姿は、これからの地域共生社会の実現に向けて数々のヒントや気づきを与えてくれたと思います。 また、国際政治が混迷する中で、スポーツを通して分断や差別のない世界を築かねばならないことを教えてくれた期間でもあったのではないでしょうか。これからの多様な価値観を持つ人たちを包み込む包括的な絆を残してくれ、地域共生社会への大きな一歩が踏み出されたと思います。 さて、介護保険制度が大きな岐路に立たされています。これからの介護は、科学的な知見を集めた業務の効率化により、自立支援・重度化防止に有効かどうかを見極めてケアマネジメントすることが急がれます。そのためにも、これからの人材育成の再構築は欠かせません。 日経新聞に人材育成に関する興味深い記事が掲載されていました。そこでは、2000年にノーベル賞を受けた経済学者のジェームズ・ヘックマン氏が、ある大規模な幼児教育の実験データを基に、その効果を検証されたそうです。10〜12歳の子どもに知能テストのような課題を出してもらい、終了後に成績がよかったことを伝えるのですが、一つは「こんなに成績がよかったのは頭がいい証拠だ」二つ目は、何も言わない。三つ目は「成績が良いのは頑張ったからだ」とその上で、次の課題として、簡単な課題と難しいけどやりがいのある課題を出すと頭の良さを褒められた子どもは7割弱が簡単なものを選び、頑張りを褒められた9割が難しい課題を選び、何も言わなかった子どもは半々であった。という結果だったそうです。このことから、「教育」とは、今の能力での結果だけに囚われず、それまでの過程を認めたり、個々の自発性や忍耐力、コミュニケーション能力などを身につけることが重要であるということが実証された。と結んでいます。 法人として今、科学的知見や効率化に向けて、様々な準備に取りかかっていますが、数値化の時代になっても、数字の変動に一喜一憂せず、個々の尊厳や価値観を大切にしながら、地域共生社会に向けて、貢献できる運営を目指していきたいと思います。 令和3年10月1日 理事長 山口浩志 |