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〜「警察主眼」から福祉の心を学ぶ〜 (令和7年3月) |
春寒しだいに緩む季節となりました。地域の皆さま及び関係者各位におかれましては、日ごろからのご指導ご協力に心から感謝申し上げます。 「日本警察の父」と呼ばれる川路利良氏は初代大警視として近代警察の創設に貢献した人物で、著書「警察主眼」は警察関係のみならず企業人の教訓としても伝え続けられています。 例えば、「声なきに聞き、形なきに見る」は、捜査に関して解かれた心構えで、声なき声に耳を傾けることや、耳にも入らず、目にも見えない相手の心の中には、隠された改善・改良のヒントがたくさん含まれいると教えています。捜査に関して説かれた心構えですが、この姿勢は福祉職の私たちに対しても重要で心得ではないでしょうか。 この度第100代警視総監に就任された迫田裕治氏は、安全、治安の確保という誰もが求める価値を守りたい思いで警察官になったといわれ、常に「警察主眼」を読み返し、その心を学ぶ姿勢を貫いておられるそうです。 日本の戦後は経済的な豊かさを追い求めてきた歴史があります。戦後80年という節目の年にこそ転換を探るべき隠された改善策に手をうつべき時かもしれません。 例えば、昨年1年間で児童虐待で親などを摘発した件数は2649件に上り、前年から11.1%増えて過去最高となっています。一方、社会的に児童虐待の関心が高まっており、近隣住民などからの通報が増えたことも摘発件数の増に結び付いているとも分析されています。 また。2024年に自ら命を絶った小中高校生が過去最高を記録し、厚労省によると、24年に自殺した小中高生は暫定値で527人。国をあげて大人の自殺が大きく減る中、子どもの自殺に歯止めがかからない現状です。自殺は国のひずみを映す鏡であるとも言われており、SOSの出し方やメンタルヘルスなどへのきめ細かな予防教育が急がれます。 仏教の教えに、「刻石流水」という言葉あります。「受けた恩はどんなに小さくても心の石に刻み、施したことはすぐに水に流し忘れる」という意味です。人の喜びが自分の喜びとなったり、逆に人の悲しみを隣で寄り添って支えあえる社会や職場環境を願ってやみません。 そのためにも、冒頭の川路利良氏の言葉であった「声なきに聞き、形なきに見る」を日々実践できる風土を作りたいと願います。 ![]() 理事長 山口浩志 |
