|
|
|
〜基礎を身につけなければ型破りにはなれない〜 (平成30年12月) |
枯れ葉舞う季節、地域の皆さまにおかれましては、日ごろからのご支援ご協力に心から 感謝申し上げます。 今年歌舞伎座が130年を迎え、年間通して各地で公演を開催されております。歌舞伎は能と合わせて、型を重んじる最たる伝統芸能といわれます。6年前に道半ばで他界された中村勘三郎氏は現役時代に出演していた「TBSラジオのこどもでんわ相談室」で、あるこどもさんからの電話相談で、「型破りと形無しの違いは何ですか。」と聞かれたことがあるそうです。当時あたふたしていた勘三郎氏を横に、同席していた僧侶の無着成恭氏がずばり「基礎がしっかりしているうえで、型やしがらみを打ち破ることが『型破り』で、基礎も何もなくあれこれやることが形無しなんだ。」と答えられたそうです。それ以降この言葉は勘三郎氏の人生にも大きな影響を与えたそうです。 日産自動車元会長カルゴス・ゴーン容疑者の権力集中でおきた有価証券虚偽報告や、無資格検査とデータ改ざんが発覚したスバルの不正問題等、企業ガバナンスや倫理等を疑われる事件が止まりません。 一方、地域では、「共に支え合う社会」を目指して、「民の力」を引き出し、活性化に力を注いでいる取り組みもたくさんあります。そのひとつに、大阪市にある「アートエリアB1」です。10年前から、現代美術や科学などに関する事業の企画をしており、国や自治体だけに頼るのでなく、市民や企業、NPOが「公共」を分担するという取り組みです。例えば、関西各地の歴史や文化を、語りや映像などで紹介する「語りべシアター」事業や、造船工場の跡地や空き家などをアーティストやクリエイターに提供し、地域活性化のきっかけづくりとする等の事業です。 文化にせよ、まちづくりにせよ、地域の良さを守り、育てようという「民」の合意と決意で新しい時代を拓こうという理念で成り立っているようです。 それぞれの組織にも、トップダウンでなく、「個」の力を発揮でき、「考える集団」としてどう変化していけるかが求められております。 企業経営や福祉経営にも大切にしなければならない基礎の型がありますが、現状を打ち破り、新しい型破り的な発想で、日々の現場に変化を起こすことにも挑戦していきたいと思います 30年12月1日 理事長 山口浩志 |