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〜「敬老」を考える〜 (平成30年9月) |
紅葉の季節となりました。地域の皆様におかれましては、日頃からのご支援ご協力に対しまして感謝申し上げます。 今月は敬老月間となります。ご高齢者への感謝の気持ちを改めてかみしめる月としたいと 思います。 そもそも昭和22年に、兵庫県多可郡野間谷村で、当時の門脇村長さんが、村の行事として 9月15日に「敬老会」を催したのがきっかけとなり、昭和41年に国民の祝日として定め られたそうです。 戦国時代から江戸時代にかけて、最も長く生きた人物に、南光坊天海和尚があげられます。 徳川家康のブレーンとして仕え、108歳で天寿を全うするまで、二代目秀忠、三代目家光と、徳川三代にわたって貢献された人物です。彼の長寿の心得として、「気は長く、務めはかたく、食細くして、心広かれ」と説いています。現在、100歳高齢者人口は6万人以上といわれていますが、天海和尚没後、375年経つ今でも通用する言葉です。 医療費抑制に向け、政府が進める在宅医療の体制整備が遅れているよです。平均在院日数は30日に達し、英国の7日や、独仏の9〜10日と大きな差があります。 本県では、高齢者人口10万人あたりの在宅医療拠点数は、全国4位と、充実県に含まれているようです。 一方、厚労省所管の介護労働安定センターのデータによりますと、人材不足を感じている介護事業所が、全体の66.6%と、マンパワー確保は依然と厳しい状況です。 しかし、人材不足は介護業界に留まらず、全産業にも当てはまり、外国人労働者で補えるだけの受入れも困難であると捉えられています。 大切なことは、介護サービスを受ける前の段階で対策を考えることです。リハビリを通した自立支援や、専門職外の地域での支え合い等が遅れていることは否めません。 中には、認知症疾患患者同士が支え合う「オレンジカフェ」、コンビニやファミリーレストランによる食事の宅配、フィットネスクラブでの高齢者向けプログラム開発、シニア層による子育て支援の応援隊等々、全国各地域での取り組み事例もあります。 このように、不確実性の高い時代には、目先の出来事にとらわれず、中長期的なスパンで目標を見据える視点を養っていかねばなりません。 夏の甲子園優勝チーム、大阪桐蔭高校野球部、西谷監督には、陰で支えてきた有友茂夫部長 がいます。彼自身は、天理高校野球部に入学すると同時に、同部が不祥事にあい、2年生終 わりまで対外試合禁止で、結局うだつのあがらない高校時代を過ごしたそうです。 その悔しさが原動力で、桐蔭高校では、監督の目の届かない、控えの選手の練習指導をしたり、落ち込んでいる生徒には寄り添って気が済むまで話を聞いたりされてきたそうです。時には監督の相談相手でもあり、「陰の役者」でした。 福祉の立場としても考えるべきこととして、地域で暮らす要介護高齢者を支援する専門職の力量も大切ですが、介護を受ける手前の段階の人たちを支える予防支援があってこそ、充実した地域福祉が実現できると思います。 NPOとして、いつもそういう視点を忘れず、地域貢献に向けた取り組みをしていきたいと考えております。 平成30年9月1日 理事長 山口浩志 |