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〜働き方と生き方 〜フランス・パリかた見えた生き方とは〜〜 (平成28年11月) |
日ごとに秋も深まってまいりました。地域の皆さま及び関係者の皆さま方には、日頃からご支援頂きまして心から感謝申し上げます。 先月、フランス・パリ「地域包括ケアシステム」研修に参加してまいりました。ここで、フランスで学んできたことを簡単にご報告いたします。 フランスのシャルル・ド・ゴール空港に到着した時のことですが、入国審査通過前で、約1時間ほどかかりました。通過口は5か所あるのですが、日曜日ということもあってか、2か所での対応で、係員も特に急ぐ様子もなく、並んでいる人達も、当たり前のように待っているのです。 ようやく、通過した後、現地の通訳の方(東京都江戸川区出身と言ってました)の説明では、フランスという国は、「待つ」のが文化だそうです。時間的なことに関しては、人の気持ちは考える習慣がないようで、みんながそうだから、特に争いも起こらないそうです。 国土は日本の1.6倍あり、8割が農耕地です(日本の約21倍)。フランス人は、誇り高く挨拶をしあって認め合う文化があるようで、小・中学校の入学試験では、必ず挨拶のテストがあり、できなければ落第もするくらいだそうです。 人口6630万人で、内65歳以上人口は、1218万人(18.3%)。平均年齢は、男性79.2歳、女性85.4歳です。2005年から16歳以上の全国民がGP(かかりつけ医)の登録が義務付けられています。医療保険は2階建てとなっており、基本的に自己負担はないそうです。介護保険はありませんが、「介護手当」(APA)が2002年から始まり、施設入所や在宅療養者に対して給付されています。 また、MAIA(マイア)と呼ばれる、地域包括支援センターがあります。加えて、HDAシステムという、「在宅入院」制度が進んでいます。生活支援は関しては、ケースワーカーが担当し、医療に関しては、コーディネートドクター及びコーディネートナースという立場の人がマネジメントします。他、本研修内容に関しての詳細は、後日報告会をいたしますので、ぜひご参加ください。 さて先日、総務省が発表したわが国の国勢調査では、75歳以上人口が1612万人で、総人口の「8人に1人」を占め、初めて14歳以下を上回ったそうです。それに合わせて、今後強い経済、子育て、社会保障の3分野に横断的にかかわる「働き方改革」が取りざたされております。すなわち、高齢者や女性の潜在力をどう活かすかが、これからの課題であるとしています。 現在60歳以上の7割近くが、65歳を超えても働きたいと望んでいるそうで、実際に、2016年版厚労省白書では、60歳代前半の就業率は74%まで上昇しているようです。 また同白書による意識調査では、「高齢者は70歳以上から」と考えている人が4割に上がっています。働きたい年齢について、最も多かったのは、「働けるうちはいつまでも」だったようです。 ただし、人それぞれの「働き方」があり、「生き方」があっていいとも思います。頑張らないと人並みの生活ができない、という社会となると、どことなく息苦しさも生まれるのではと危惧するところです。生物学者の池田清彦先生は著書の中で、「君子は交わりは淡き水のごとし。」といわれるように、「私にはできないが、そういう生き方もあっていいのかも。」というくらいがちょうどいい、と「マイノリティ」と「多様性」の重要性を説きます。 福祉に関しても、他国には他国の文化や風習による現在があります。日本の文化や習わしを大切にし、これからの地域福祉を創りあげる一役を担っていかねばならないという考えに至っております。 平成28年10月1日 理事長 山口 浩志 |