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〜新たなる時代こそ福祉の文化を受け継ぐ〜 (平成30年4月) |
春たけなわの今日この頃、地域の皆さま及び関係者の皆さまがたには日頃からのご支援ご協力に関しまして心から感謝申し上げます。 徳川幕府のもとで武士として戦い、40歳代で出家した鈴木正三和尚は、「盲安杖(もうあんじょう)」の中で、「小利を捨てて大利にいたれ」と言っています。つまり、目先の利益でなく、誇りをもって心から打ちこむことの尊さが伝えられてきました。そして、渋沢栄一氏や松下幸之助氏などはこの影響を受け、日本商人としての文化が築かれてきました。 例えば、伝統工芸の職人さんが技術を磨いたり、剣道や茶道、書道等、「〇〇道」と呼ばれる分野でも、ただ上手くなるだけでなく、自分の仕事や日々の修行を通して人格を高め、「自分みがき」を重んじる教えが受け継がれています。 昨今、データを改ざんして商品出荷を急ぎ不正問題となった神戸製鋼や、営業担当者が成績を上げるだけのために、上司への決裁もあおがず焦って商談に飛びつき大損失を企業に与え、信用失墜させてしまった積水ハウス等でも、かつてはそういう文化はあったはずです。 4月から65歳以上の人が支払う介護保険料は、全国で21市区が500円以上の引き上げとなりますが、総務省人口推計では、75歳以上の後期高齢者数が65歳〜74歳の前期高齢者数を上回ったそうです。また企業は定年を徐々に65歳以上に引き上げはじめ、これからの日本の高齢社会は新たなる局面に入ります。 4月からの診療報酬・介護報酬改定では、人材不足や業務の効率化を補うためのICT化や介護ロボットの取り組みが進むと報道されておりますが、一方では、介護施設などで働く職員による高齢者虐待は全国で16年には452件で、毎年前年度比を上回っているとも報告されています。 福祉の仕事をする上では、効率化を求めるだけでなく、介護本来の基本である、やさしい笑顔や温かいまなざし、そして、思いやりある言葉かけなどを文化としてきた心得を失ってはなりません。 ヨーロッパでは国の文化として、「個」と「公」の意識が高いといわれていますが、日本では、仲間同士でチーム一体となり、互いに高め合って力を発揮する「共」の文化といわれます。 国の文化、産業の文化同様、福祉や地域がもつ「共」の文化を大切にしながら、互いに高めあい、自らをみがきつづけられるような職場づくりを目指してまいります。 平成30年4月1日 理事長 山口浩志 |