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〜国家経営と企業経営の共通点〜 (平成28年7月) |
日ごとに暑気が増してまいりました。地域の皆様及び関係者各位におかれましては、日頃からのご協力ご支援に心から感謝いたします。 厚労省の統計によりますと、高齢社会に伴い、介護や支援が必要とされた人が前年度比3.8%増の、606万人になったそうです。それに合わせて、介護給付費が前年度比4.6%増の、8兆9000億円に増えて、過去最高になったと発表されました。 しかしご承知の通り、消費増税延期の急展開によって、増税による追加収入で社会保障充実をうたった「社会保障と税の一体改革」は挫折しました。 反発を恐れるあまり、耳障りのいい言葉だけに終わり、結果次世代につけをまわしかねません。 今、福祉の課題は、施設から在宅(地域)へと移行していますが、地域で起こっていることの中に、まず認知症が原因の行方不明届が1万2208人との警察庁のまとめが出されました。 また、16年版自殺対策白書によりますと、15年度自殺者数2万5千人のうち、70歳以上と19歳以下の増加が目立つそうです。 加えて、今後自宅だけでなく、入院や入所の条件が厳しくなった医療機関や施設で、看取ってもらえない「看取り難民」の増加も予想されており、2030年のピーク時には、約47万人にまで増える可能性があるそうです。 このように、国家戦略の遅れがあらゆる面で波及を生むことは自明の理です。 企業経営に照らして考えてみますと、経営不振に陥った大手家電メーカーS社や、対して多角経営に行き詰まりながらも、危機から奪還した化粧品メーカーK社があります。2社の違いは、結局「実行」と「撤退」の決断力とスピード感にあったと、私なりに分析します。 このことは、国家戦略も企業戦略にも、「やらない失敗」より「挑んだ結果の失敗」に目が向き、本質的問題を先延ばしするところに盲点があるように思います。 一寸先は闇も成功もあります。挑戦なく活力を失うより、既成概念にとらわれない、あくなきベンチャー精神こそが、これからの地域包括ケアシステムの中での個々の課題解決にとって、必要な条件であるように思います。 平成28年7月1日 理事長 山口浩志 |