日増しに冷気加わるこの頃、地域の皆さま及び関係者各位におかれましては日頃からのご協力ご支援に心から感謝申し上げます。
  さて今月は障害福祉サービスについて考えてみたいと思います。介護保険制度前のゴールドプラン時代に障害福祉分野では、ノーマライゼーションプラン7か年戦略が動き出しました。このことはつまり、障害の有無にかかわらず、自分らしく暮らせる社会の実現に向けた新たな道のりの始まりでした。 かつて、視覚と聴覚を失った米国の社会福祉事業家、ヘレン・ケラーは戦前から戦後にかけて3度来日し、障がい者支援の必要性を訴えられています。例えば「あなたのランプの灯をいま少し高く掲げてください。見えぬ人々の行く手を照らすために」とのメッセージは、今も色あせていません。社会でともに生きる一人一人に対して行動を促す言葉でした。
  現在の福祉サービスが成長し続けられているのはこのような先人たちが「第2の創業」でまいた種から花が咲いているということを私たちは忘れてはなりません。そしてこれからは自分たちも次世代への種をまき水を与えていくことが必要となるでしょう。 そういう意味では、企業などでも次世代に活かせられる技術進歩等に力を入れています。例えば富士フィルムが医療に役立つ製品開発に力を入れていくため、開発と事業部のパイプを強化していることも次の時代に結びつけるための改革だと思います。
  今後は変化のスピードが増し、過去の成功パターンだけでは未来を描けない時代です。それだけに新しい教育や発想が求められてきます。 そこで、これからの人材育成プログラムのひとつに、「問いを立てる力」があげられています。ここでは、正しい問いがあれば運営戦略や人財育成も“意志ある選択”となりますが、逆に始めに「問い」がなければ意思決定は過去データと慣習に流されやすくなるということです。 すなわち私たち医療・福祉職として“問いを立てる力”をもつということは、自分は何をもって価値ある職業となすかや、資格をどう活かすか等について問いかけられるかどうかです。 今後はそうした意味でのスキルが養える教育プログラムも改めて考えていきたいと思います。
 
  令和7年11月1日 理事長 山口浩志
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