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〜新年度を迎え教育のあり方を考える〜 (令和7年5月) |
青葉の目にしみる季節となりました。地域の皆様及び関係者各位におかれましては、日々のご協力ご支援に心から感謝申し上げます。 先月、81歳で亡くなられた畠山重篤さんという偉大な漁師がいました。宮城県気仙沼のカキ養殖で生計を立ててこられたそうですが、今から約40年前に、潮だまりに無数のカニ、ヤドカリ、ハゼなど小魚みた時に、川を遡れば自然の河川がどこまでもつづき、上流は落葉広葉樹の深い森があり、実のなる木が動物を、腐葉土の養分を含んだ地下水が川や海の生き物を育んでいたことに気づきました。この気づきが「森は海の恋人」と名付けるほどの、畠山さんの活動の原点となったそうです。そして、黙々と木を植え、子どもたちに自然保全の大切さを語り続けられました。人々の共感を呼んだ行動力は、自己中心主義がまかり通る今、その仕事への姿勢や考え方の尊さが身にしみます。 さて、2024年に一人暮らしの自宅で亡くなった人が7万6千10人でした。うち76.4%の5万8千44人が65歳以上の高齢者だったことがわかりました。警視庁での報告でも、警察が取り扱った遺体のうち、自宅で一人で死亡した人を集計したところ、65歳以上の遺体のうち、死亡推定時刻から発見までにかかった日数は当日から1日が最多を占めたと発表されています。また、定期的に様子をみる親族や友人もなく、郵便物や雑誌が自然にたまっていたりするといった通報で発見に到るという事例もあることがわかっているようです。 こうした課題に向けた解決方法は数多く出されていますが、十把ひとからげではありません。 先日放映されたTBSの学園ドラマ「御上(みかみ)先生」の最終回に、こんなセリフありました。卒業が近づく高校生への授業。主人公の教師は「考えて」が口癖で、人間関係などの問題が起こるたび、生徒自身に考えさせました。しかしこの日はそれまでの自身の授業を否定するような言葉を生徒に与えます。教育とは考える力を養うこと。では考える力とは何か。コストや時間をかけず正確にたどり着く力と思いがちだが、実は答えのない問題の答えを「考え続ける力」を指すと教師は教えます。 カキ養殖の畠山氏の未来への投資行動や、御上先生の課題解決への心構えを胸に、今後も答えのない問いかけに満ちた社会という森に道すじを創りながら歩んでまいりたいと思います。。 令和7年5月1日 理事長 山口浩志 |
