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〜どうするNPO〜 (令和5年10月) |
日増しに秋の深まりを感じる今日この頃ですが、地域の皆様及び関係者各位におかれましては日ごろは法人へのご指導ご支援に対しまして心から厚く感謝申し上げます。 現在放映中のNHK大河ドラマ「どうする家康」に心に響く場面がありました。 小牧長久手の戦いで秀吉に圧勝し、本多忠勝や榊原康政ら家康の家臣たちが勝利に酔いしれる中、家康と手を結んでいた織田信雄が独断で秀吉と和議を結んでしまったことから事態は急変。 さらに秀吉が関白となったことが決定打となり、徳川はたちまち不利な状況に。家康の息子を人質に差し出すよう命じた秀吉と交渉すべく、石川数正が名代として大坂城に出向くと、秀吉は真田の影をちらつかせて脅し、数正に自身の家臣になるよう命じるだけでなくさらなる和睦の条件を突き付けます。数正は日ごとに「秀吉には勝てない」ことを確信します。「みっともない訛りをわざと使い、ぶざまな猿を演じ、相手の懐に飛び込んで人心を操る。欲しいものを手に入れるためには手立てを選ばぬ。関白までも手に入れた。あれは化け物じゃ。殿は化け物にはかないませぬ。秀吉の臣下に入るべきと存じまする」と。カミソリのような切れ味鋭く、いかなる場面でも正論を進言する数正ならではの言葉です。しかしそこで、数正から諫められる家康が言い放った言葉が、「王道をもって覇道を制す」でした。つまり、王道とは、礼儀をもって接して尊重をえること、覇道とは地位がもつ強制力を行使することを表します。王道は権力によらず本来あるべき人間の姿を活かすことで、自然と周りからリスペクトされたり、秩序をもたらします。 さて、私たちNPOの重要な役割の一つに「社会課題を解決するためのモデルを創ること」がありますが、ゼロを1にするのは、制度がなくても工夫して始めるのがNPO、1を10にするのは理論武装をする学者の仕事、事業化してペイする範囲の50までもっていくのが企業であり、ペイしないところも含めて最後100にするのが行政の仕事であるといわれます。NPOが創ったモデルを社会全体に広げる順序を表現しているといえます。 現場からの様々な課題解決への取り組みにあたっては暗礁にのりあげたりすることは日常茶飯事ありますが、そこで立ち止まったり諦めて何も対策もとらないのでなく、自分の心を揺さぶるきっかけとなる実体験を原動力として「どうするNPO」と問いかけながら王道を歩みたいと思います。 令和5年10月1日 理事長 山口浩志 |