春たけなわの今日この頃ですが、スタッフの皆様におかれましては、日頃からの現場でのご努力に心から感謝いたします。 日中戦争下の1939年に日銀を依願退職し、上海に華興商業銀行を設立して理事となり、その後も新しい中国の国づくりに貢献された岡崎嘉平太氏がいますが、彼は中国歴史上、伝説の人物として伝えられています。後に周恩来氏は、田中角栄氏との交友が始まった際に「水を飲む時に井戸を掘った人のことを忘れてはならない」という中国のことわざを引用しています。岡崎氏が井戸を掘った(縁結び)からだと伝えています。高齢者人口がピークを迎え、人口減少が始まる2004年を見据え、全世代型社会保障構築会議が開かれ、改革の議論に入りました。具体的には育児支援策の改善や厚生年金に加入できるパート労働者の拡大、一人暮らし高齢者や困窮者への支援、ヤングケアラー等の負担軽減等が取り上げられています。元厚労省官僚で社会保障制度改革に携わり、かつ介護保険制度の立役者でもあった香取照幸氏は、同会議について、「現役世代支援=若者支援・家族支援・両立支援」対策の充実」と力説されています。そのことは即ち、現役世代を支える施策は、将来の日本を支えるための未来の投資であり、産業界や企業からの役割も極めて重要であることを意味しています。 国の施策や企業組織の事業を次の時代、世代へつなぐためには、施策の基盤や事業の推進力、地域のネットワーク力が必要でしょう。 今、コロナ禍によりこの「つながる力」が希薄化されていますが、これまで以上に「つながれる」環境づくりが重要となります。ゴールドプランから介護保険制度へと大転換され、それからも制度の荒波にもまれながらも私たちは現場を守り抜いてきましたが、今後2025年同時改定に、どうつながれていくのかを、これからも見守っていかなりません。 医療介護やNPOの井戸を掘ってきた人たちの思いが十分に活かし高められてこそ、意識ある「未来への投資」になるものと確信いたします。
令和4年4月1日 理事長 山口浩志
|