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〜新たなる時代への準備〜 (令和2年11月) |
秋冷の心地よい季節となりました。スタッフの皆さまにおかれましては、昨今のコロナ禍の中、地域の皆さま及び関係者各位におかれましては、日頃からのご協力やご支援に深く感謝申し上げます。 「人、一(ひと)たびしてこれを能(よ)くすれば、己これを百たびし、人、十たびこれを能くすればこれを千たびす」は、孔子の孫、子思(しし)の言葉です。これは、他人が一回でできることなら、自分は百回やり、十回でできることは千回やってみる。徹底した努力を重ねれば誰でも目的を達成することはできる、という教えです。 令和2年版厚生労働省白書が公表されました。この度は、第1部では「令和時代の社会保障と働き方を考える」と題し、2040年を見据えて、「人生100年時代」「担い手不足・人口減少」「新たなつながり・支え合い」「生活を支える社会保障制度の維持・発展」という4つの方向性に沿った対応の必要性を提示されています。また第2部では「現下の政策課題への対応」と題して、子育て、雇用、年金、医療、介護など、最近の施策をまとめています。 そして、介護報酬改定の審議がいよいよ2巡目に入り、12月には最終意見のとりまとめが予定されています。まず、訪問介護サービスの論点として、人手不足による存続の危機をどう払しょくするかが焦点となります。またICT化による対面以外の手段活用や自立支援・重度化防止をより一層推進すること、通院等乗降介助を病院―病院間や通所サービス―病院間などへの拡大が意見としてあがっているようです。 今こそ冷静に介護保険における競争原理の限界と人口減少を踏まえた制度設計の見直しが必要だと感じています。介護はひとつの社会問題であると考えると、住民ボランティアや自治会活動等、地域独自の福祉サービスを育てることが求められます。また担い手自身の子育てや親の介護を社会が担える互助のしくみが、安心して活動し続ける背景ともなりえます。このように時代の節目である今、NPO経営は大きな分岐的にさしかかっていることは間違いありません。 子思の教えは、「君子の道はたとえば遠きに行くに必ず近きよりするがごとく」と続けられています。たとえ目標が遠くにあったとしても、目の前にあることから始めなさいという意味で締めくくられているように、5年後、10年後、また次世代を見据えて、目の前で起こっている課題に全力で向き合い続けたいと考えています。 令和2年11月1日 理事長 山口浩志 |