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〜嘉納治五郎氏の教えを介護現場に活かす〜 (令和2年8月) |
この夏の暑さはことのほか厳しいようですが、地域の皆様及び関係機関各位におかれましては、日頃のご支援ご協力に対しまして、心から感謝申し上げます。 それにしても、また豪雨の恐ろしさを見せつけられました。熊本南部で猛烈な雨が降り、急流で知られる球磨川の氾濫による住宅浸水、土砂崩れが相次ぎ、甚大な被害が出ています。 球磨川支流近くの特別養護老人ホーム「千寿園」では、水が津波のように押し寄せ、避難所では3密を避ける工夫が求められています。また従来のように大勢がボランティアで被災地に出向くのは難しいし、厳しい現実はありますが、1日でも早い復旧と生活再建を願うばかりです。 さて、柔道の創始者であり、日本で初めて国際オリンピック委員会委員になった嘉納治五郎氏の遺された言葉に、「精力善用、自他共栄」があります。「精力善用」とは、自分の心身の力を最大限に発揮して、社会や他人のためになる良い方向に用いるという意味です。「自他共栄」は、自分だけでなく、他の人と共に栄える世の中にしようとする気持ちを育むことを掲げています。 これらの言葉を日常の介護現場の実践に当てはめると、一人一人のケアに対する小さな努力を積み重ねることで、ご利用者の抱えている苦難や不安を喜びや安心につなげられるよう力を発揮していくことが「精力善用」となり、そのことで少しでも変化を起こせたらならば、共に喜びを感じることができ「自他共栄」につながるでしょう。 コロナ禍が拡大するにつれ、病院や施設は、ご家族の面会を禁止さざるを得ず、在宅系でも利用を控えたり、訪問を断ったりと、生活事態が縮小し、引きこもりやうつ症状、認知症状悪化等、新たなる課題がこれから徐々に表立った問題になってくるように感じています。しかし、現状を嘆いてばかりいるだけでは問題化解決にもなりません。 まずは直接会ったり集まったりしなくてもコミュニケーションがとり続けられるような新しい方法を生み出す実践力と、きめ細かい検証の積み重ねが必要でしょう。 取り組みにあたっては、常にご利用者やご家族への思いやりや感謝の気持ちを忘れず、貢献できる方法を生み出せる「自他共栄」の精神で臨みたいと思います。 令和2年8月1日 理事長 山口 浩志 |