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〜直面する危機と私たちの使命〜 (令和6年7月) |
いよいよ夏の到来を迎える季節となりました。地域の皆さま及び関係者各位におかれましては日頃からのご支援ご協力に対しまして深く感謝申し上げます。 中外製薬名誉会長である永山治氏は、かつての教えの師である小林陽太郎氏から、「リーダーとして目標を掲げて力強く会社をけん引することは大事だが、実行するのは社員(国民)である。 実行されて結果が出た時に初めてリーダーとしての姿が見えてくるようでなければならない。」と教えられたそうです。 2025年の年金制度改正に向けた議論が厚労省の社会保障審議会で本格化しています。議論のひとつに、高齢者の就労促進と年金財政とのバランスの問題や、専業主婦ら会社員に扶養される配偶者を対象とした国民年金の第3号被保険者制度の廃止問題等。給付と負担の関係を重視する社会保険の原則に沿った仕組みづくりが課題としてあげられています。 ご存じのように少子化、人口減少が坂道を転がり落ちるように加速しています。 その件に関連もしますが、政府が示した経済財政運営の指針「骨太の方針」の原案では、人口減少下で長期的な経済成長を実現するための高齢者の就労拡大等、多様な施策が並んでいます。また高齢者就労について、朝日新聞社が独自調査した結果がでています。高齢でも就労する条件として、現役世代と比べた仕事負担の軽減が62%、現役世代と差のない賃金水準が33%と、負担軽減を重視するという結果がでているようです。このように、高齢者の就労に関しては、経験豊富だからやる気さえあればできるとの説もある反面、企業とのミスマッチもあるようです。 骨太原案には、これらに基づく、高齢者の積極的な活用をする企業の事例集が出されており、高齢者の労働災害防止のための環境整備やメンタルヘルス対策の強化などが盛り込まれています。介護を必要とする人を社会全体で支えるという介護保険制度の理念を今後も維持していくためにも、冒頭の小林氏のお言葉通り、私たち現場の専門職として多角的な視点から地域福祉をけん引し住民とともに実践で汗を流すことは大事な使命だと思います。 何事も攻めるより守る方が難しいというのが世の常ですが、様々な危機が迫る中、人と地域を守るためにも、人口減少という「静かなる有事」に向けて限られた人材や財源、また社会資源を活かした備えを長期的な視点で日頃から心がけた経営を目指していきたいと思います。 令和6年7月1日 理事長 山口浩志 |