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〜先進国オランダで学んだこと〜 (平成24年11月) |
秋も暮れて冷気も深まり、いつしか夜寒の身にしみる頃となりました。スタッフの皆様におかれましては、日常の現場での努力に感謝いたします。 厚生労働省は来年度から始める認知症施策の5ケ年計画(オレンジプラン)で、住みなれた地域で暮らし続けることができる社会の実現を目的に、在宅中心の体制にいよいよ本腰が入ったようです。それというのも、認知症の数は、02年の将来予測では25年で323万人であったところ、10年予測で470万人に大幅増の発表があり、動きが活発化したようです。 具体的には、専門知識をもつかかりつけ医を2012年の35,000人から2017年に50,000人へ、かかりつけ医を指導するサポーター医を2,500人から、2017年に4,000人へ、他にも初期集中支援チーム、地域支援推進員などの大補強を掲げていることからもわかります。 先般私は認知症ケア及びケア付高齢者住宅、安楽死などの問題に取り組んでいる先進国オランダで8日間の研修を受けてまいりました。 学んできたことは枚挙にいとまがないくらいありますが、ひとつに、幸福の考え方として、オランダではケアやキュアは生きるための一部分にすぎないと考え、逆にやればやるほどお金がかかるという捉え方でした。それより以前に大切なこととして、病気になっても認知症になっても自分を失わない気持ちをもつこと、また持てるようなケアやキュアの取り組みが求められていました。加えて、自分を見失い、何もすることがない事こそが不幸なことであるという事でした。 医療体制は、まずオランダでは生まれた時からかかりつけ医をもつ習慣があります。がんや精神疾患等の特殊な病気になると、ファーストラインであるかかりつけ医とセカンドラインである専門医が連携をとり、治療が進められます。更に精査が必要な場合はサードラインの公的医療機関へとつなぎます。すなわち全ての治療はファーストラインから始まるシステムになっています。 認知症ケアの現場もいろいろと学んできましたが、日本でのグループホームと同様に、ナーシングホームでも住宅でも基本的には6人〜9人のユニット型ケアでした。そして、認知症の最たる問題としても、自分の存在を失うことと強調されていました。 ここ40年の間に、認知症を始めとする高齢者ケアのあり方や考え方は変わってきているそうで、いわゆる施設型ケアから在宅ケアへ移行し、今後は環境型重視のケアに進められているようです。 例えば、農場型デイケアや昔の思い出ミュージアムづくり等がありました。要するに、話題性をつくることからはじめ、昼間に対話を多くし動くことで、夜間不眠や徘徊を予防しているようでした。 他にもホスピスケアや安楽死など、毎日が目からうろこでした。 どんな状況になっても本人にとって大切な生き方を支えるということの大切さや、自分自身を見失わない生き方を改めて学んだ研修でした。 今後実践に役立てたいと思います。 平成24年11月1日 理事長 山口 浩志 |