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〜住まいとケア〜 (平成24年10月) |
秋色いよいよ濃く夜長の季節となりました。 スタッフの皆様におかれましては、日頃の業務に大変お疲れ様です。 9月28日付けの日経新聞記事によりますと、平成20年の日本の住宅ストックは5,760万戸で、約5千万世帯。すでに15%ほどの家が余っているそうです。これまで住宅政策の中で数を満たそうとしてきたところ、これからはクオリティを満たすよう、日本人の意識も少しずつ変わり始めているようです。 リフォームに対する考え方も、例えば中古住宅のシェアは、イギリスで88.8%、アメリカは77,6%、フランスが66,4%であるのに対して、日本では13.5%だそうです。このことに関して、政府の政策では、2020年度に25%くらいにすると掲げているようです。 どりーまぁの法人内でも、末広事業所が居住系中心のサービスで、沖洲事業所は居住系サービスですが、ご自宅でのケアと居宅系でのケア、それぞれのご利用者様によって家族背景や価値観などに違いこそあれ、私たちの接遇の姿勢に変わりがあってはならないことは言うまでもありません。 ともすれば、私たちは介護や看護分野だけの視点で入りがちなところがあるかもしれませんが、前途の欧米や北米などでは、医療・福祉政策と同時に住宅政策も一体として進められていたことがわかります。 住まいのあり方や考え方を含めてケアにあたることで、ニーズ分析や課題解決への捉え方にも違った角度で考えられることがあります。 一昔前だと、病気や障害が発生してしまうと、すぐに病院や施設に結びつけられていましたが、これからはそういう時こそ、住まいのとらえ方、ひいては最期は自宅なのか、病院なのか、という判断が求められる大きな節目になるし、価値観や人生観が問われる瞬間です。 少し前に徳島新聞の「読者の手紙」欄にある男性が投稿されていた記事に、今の政治のあり方に対して「先憂後楽」という言葉を使い、あるべき姿を期待していました。これは、前もって問題意識を持って臨むことが後の安心につながる、という意味です。 私たちが今かかわらせていただいているご利用者様の最期の居場所まで考えて取り組むことは、ひいては自分たちの将来の過ごし方を教えていただいくことにもなります。 ぜひ今一度「住まい」の価値を考えながら日常業務に臨んでみてください。 平成24年10月1日 理事長 山口 浩志 |