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〜輝ける瞬間を重ねる力〜 (令和5年8月) |
炎暑しのぎがたいこの頃ですが、地域の皆さま及び関係者各位におかれましては、日頃のご協力ご支援に感謝いたします。 大阪府立大学小児看護学分野准教授であり、小児看護専門看護師である長田暁子氏は、臨床現場にたつ際に、どうすれば子どもと家族の輝く瞬間を重ねられるか、と自分に問いかけていることがあるそうです。また、看護のプロとして、今何が起こっているか、それは何なのかという物事の本質を見極めて、よりよいものを追求する姿勢で、目の前の人たちを幸せにできるかどうかを大切にしているそうです。 全世代で支え合う社会保障制度の構築を目指した改正健康保険法が成立し、2024年度から75歳以上の医療保険料が段階的に引き上げられます。今後は年間の医療費の増加に伴い、現役世代の保険料負担や75歳以上一定所得のある方への自己負担等で対応するだけでは限界があります。 一方、介護業界は今や慢性的な人手不足であり、厚労省の推計では、40年度に69万人の担い手不足が見込まれ、休眠人材は12万人以上との調査が出ています。在宅でも65歳以上の高齢者と同居して介護する人の63.5%が、高齢者であることが、厚生労働省の調査でわかりました。「老老介護」が2001年の調査開始以来、初めて6割を超え、家庭での介護の担い手が高齢化する現状が浮き彫りとなり、配偶者や子、親族など「同居の主な介護者」の3分の2近くが65歳以上でした。また、サービスの生産性向上を目的とした情報機器やロボットの導入は若干遅れているようです。訪問介護でも、ICT(情報通信技術)を活用するか、活用しようとしている事業所は5%程度で、浸透までには至っていません。 介護の担い手不足解消に対して動いている自治体もあります。例えば、埼玉県や山形県は、県内で働く介護職員が、仕事の魅力ややりがいをPRする動画を作成。見守ってくれた母親との対談なども公開しています。また、長崎県では、若手職員を「介護のしごと魅力伝道師」と設定し、中学・高校や専門学校へ出向き、仕事の意義を直接伝え、確保に繋がるような取り組みがあるようです。 このように、シニア世代の働ける場所づくり、個々の健康づくりなども含め、全世代で支え合うしくみづくりが地域では必要となります。こうした地域の課題に向き合って、幸せに輝ける瞬間の福祉力をつけていかねばならないと思います。 令和5年8月1日 理事長 山口浩志 |