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〜禅の心から学んだ生き方〜 (令和5年4月) |
うららかな季節となりました。地域の皆様方及び関係者各位におかれましては日頃からのご協力ご指導にあたり心から感謝申しあげます。 暮らしの中で禅の心を取り入れた過ごし方が注目されています。例えば道元の教えの中に「正法眼蔵」がありますが、キーワードは「身心脱落」です。つまり、あらゆる自我意識を捨ててしまうことで、あるがままの現実を受けいれる境地です。厳しい時代を生きていく中で、知らず知らずのうちに身も心も何かに追われ、本来の生き方を見失いがちな現代において、生き抜く知恵をもち、新しい光を当てなおすことが必要とされています。 新年度から、老齢年金上限年齢が70歳から75歳へと引き上げとなったり、育児休業取得状況の公表が義務化されます。また、厚労省では40歳から64歳の人が負担する介護保険料の推計が、2023年度は平均で一人当たり月6216円になると発表されました。 一方、企業経営にも厳しい現実がつきつけられています。セブン&アイ・ホールディングスでは、赤字が続く傘下の総合スーパー、イトーヨーカ堂の運営合理化策として、祖業の衣料品から完全撤退すると発表されました。 ヨーカ堂は、1920年に東京・浅草に開業した洋品店「羊華堂」が源流ですが、撤退は自社運営の紳士、婦人、子供服で、専門店との競争が激しく、立て直しは見込めないと判断した結果だそうです。100年以上続く老舗の撤退は衝撃的なニュースとして話題を呼んでいます。 全ての産業や機関にとって、これからは新しい連帯の工夫が必要となるでしょう。例えば、タクシーや貸し切りバス事業者が宅配便、日用品を運んだり、トラック事業者が貨物車で人を運んだりする「貨客混載」を全国で認める方針を国土交通省が明らかにしました。タクシーを使った高齢者の買い物支援や、貨物用ワゴン車での通院などが想定されます。需要が多い朝夕は客を運び、日中は荷物を届ける「掛け持ち」で輸送が効率化できれば運送業界全体の人手不足解消に役立つ可能性に期待されます。 「正法眼蔵」の教えに、山は遠くから見るのと山中で見るのとでは異なるとあります。視点を変えて解決策を多角的に複数化すると見える世界が変わり、問題解決の糸口につながったりすると教えています。 時代による新しい光を探すことで、今後のNPO運営の糸口を切り拓いてまいります。 令和5年4月1日 理事長 山口浩志 |