灯火親しむ季節となりました。関係者各位におかれましては日ごろからご協力ご指導を賜り心から感謝申し上げます。 全世代型社会保障構築会議が本格的に始まっています。「子ども・子育て支援の充実」・「医療・介護制度の改革」「働き方に中立的な社会保障制度の構築」と3つのテーマで、高齢者人口が2024年まで増え続けることに備え、公平に支え合う新たな仕組みづくりへのキックオフです。また、2020年の厚労省白書が公表されましたが、医療や介護など福祉関連の人材は40年に96万人不足するとあり、社会保障の最重要課題であると強調されています。白書全体のテーマに「社会保障を支える人材の確保」を掲げていますが、人材を焦点にあてるのは初めてのことだそうです。 一方、静岡県の認定こども園に通う女児が通園バスに取り残された死亡事件は、原因には職員の怠慢や思い込み、ルールの不備、乗車名簿や登園管理アプリの不備などシステムがそろっていながら活かされなかったという最悪の結果が明らかになっています。また、このケースだけでなく、子どもの通う施設の安全性が確保されていない実態が改めて浮き彫りになりました。幼稚園や保育所などで起きている事故は、内閣府によりますと、21年に子どもの施設で起きた重大事件(死亡、意識不明、治療期間30日以上の負傷者等)は1872件(うち死亡2件)で、前年より286件ふえているそうです。16年の587件に比べると3倍以上増えています。 バス置き去りだけでなく、昼寝中の窒息や誤飲、散歩中の置き去りなど、多岐にわたる事故の発生実態が報告されており、施設側の安全対策強化が急がれます。しかし、いかにルールづくりや対策強化に力を注いだところで解決には至らないと考えます。大切なことは、ソフト支援を今一度考え直すことです。周囲の誰かの一言、誰かの行動、誰かからの支え等で流れが大きく変わり安全を守ることにつながり得るでしょう。 高齢者介護の現場でも窒息、誤飲、転倒など日常起こりうる事故や感染症予防への対策等、常に背中合わせの毎日ですが、平時からの備えと心得がリスクマネジメントの原点であり、この度の児童福祉施設問題を対岸の火事ではなく他山の石の気持ちで考えないといけません。一つひとつの経験を無駄にすることなく、法人の未来の教訓として積み重ねていきたいと思います。
令和4年10月1日 理事長 山口浩志
|