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〜福祉経営と「不易流行」〜 (令和4年9月) |
そろそろ夏の疲れがでる時期となりました。関係者各位におかれましては日ごろからご協力ご指導を賜り心から感謝申し上げます。 国連が世界人口デーに合わせて発表した世界の人口に関する報告書で今年11月半ばまでに世界人口が80億人に達し、2023年にはインドの人口が世界を超えて世界最多になるとの見通しがあるようです。一方、総務省が直近で発表した日本の総人口は前年比61万人減の1億2322万人と、減少幅は過去最大となります。国では地方の人口減少に対して「静かなる有事」と称しています。 全世代型社会保障構築が取り上げられますが、人生90年時代を視野に入れ、健康寿命をいかに伸ばすかにも期待がかかります。そのためにも、軽度な体の不調は自分で手当てできるセルフメディケケーションの推進が問われています。同時に、夜間・休日に電話相談に応じられる薬局を増やして服薬指導のシステムなどが取り上げられています。これまでに積み重ねてきた生活習慣や医療依存などの仕組みに対しても、維持することとやめるべきことを精査しなければならない瀬戸際の時代であるといえます。 人口減少や財政悪化が続く今、効率的に成果を上げる意味では、いかに賢明な撤退を遂行できるかということが鍵になるかもしれません。企業の経営実務に関する評価の項目にある分析力、機敏さ、環境変化における社会貢献度の認識等では、日本企業は世界でも著しく低い国になっているのも事実です。 世界食品大手のネスレ(スイス)ではサスティナブルな地球社会への貢献を企業の使命と定める一方で、社員の安全や健康、ウェルビーイングのために積極的に投資をしています。そして、30年までに雇用や農業でもインターンシップなどを通じて1千万人の若者を支援するという目標を掲げています。つまり新しいスキル教育に力を入れていき、好循環をおこせるよう努力しています。 松尾芭蕉は出羽三山の羽黒山を訪ねた時に「不易流行」の境地に至ったと言われています。先の読みにくい時代でも、現状を理解して大きく進歩させるポイントは何かを見極める不易と、今の流れを知って問題を見極める流行が大切だという考えです。 日々の現場から読み取れる課題から価値のある実践につなげられるよう、粘り強く考え続け「静かなる有事」に立ち向かっていきたいと思います。 令和4年9月1日 理事長 山口浩志 |