|
|
|
〜これからの働きがいを考える〜 (令和4年6月) |
夏の気配が感じられる季節となりました。関係者各位におかれましては日ごろからご協力ご指導を賜り心から感謝申し上げます。 全世代型社会保障構築会議が着々と進んでいるようです。基本的にはポスト「税と社会保障の一体改革」を議論する場で、一丁目一番地の課題は子ども施策で、2番目は、医療・介護の提供体制です。つまり厚生年金や健康保険への加入対象を拡大する「勤労者皆保険」の実現や、育児休業が柱となります。高齢者中心の給付、現役世代中心の負担の構造から、それぞれの人生のステージで必要な保障バランスを確保しなければならないことが盛り込まれています。特に医療・介護・福祉サービスについては、ICT活用によるサービスの質的向上や人的配置の効率化、地域完結型医療・介護サービス提供体制構築などが記載されるようです。 しかしながら、日本企業の労働環境が改善する一方で、働き手の仕事への充実感や達成感といった「働きがい」が高まっていません。社員が職場を信頼し貢献したいと考える指標である「エンゲージメント」がありますが、米国コンサルのコーン・フェリーがグローバル企業に20〜21年に実施した調査によれば、働きがいを感じる社員の割合は、日本が56%と世界平均を10ポイント下回り、23か国中、最下位が6年続いているようです。背景として考えられることとして、企業の組織運営の改革遅れや、上意下意の風土、旧来型の日本型経営が影響していると分析されています。 個人の創意工夫の範囲が狭くなっていたり、現場に権限移譲が進んでいなかったりするのも要因として指摘されています。医療・福祉界のみならず、あらゆる産業において先人たちはそれぞれが社会課題を解決しながら変革をおこしてこられて今があると思います。 各界の垣根を越えて社会課題解決の道を考えることが求められているのかもしれません。 アメリカの社会福祉活動家のヘレン・ケラーは幼児期に視覚と聴覚を失いながら前向きに生き同じ境遇の世界の人たちを支援する活動を続けていましたが、彼女の思いは「福祉の心に国境はない」でした。 職場内で疑問や違和感を感じながらも意見が出せなく、また機会がない方もいると思いますが、立場や職種の垣根をつくらず、コミュニケーション力を試せて、働きがいのある職場の風土をつくり上げていきたいと思います。 令和4年6月1日 理事長 山口浩志 |